「"稼げる街、挑戦できる街"を目指して」――石崎けいぞう候補(三股町長選2026)
更新日:8月30日

宮崎県庁職員として長年勤務し、三股町では副町長や教育長を務めてきた経験を持つ石崎氏。三股町出身ではないものの、町での勤務や地域活動を通じて住民との交流を重ね、「第二のふるさと」と呼ぶほど三股町への思いを深めてきた。
立候補を決意した背景には、培った行政経験と町民から直接聞いてきた声を生かし、自らの手で町の課題を改善したいという思いがある。
今回の取材では、立候補に至った経緯から、三股町を取り巻く課題、そして未来について話を伺った。
三股町との出会いから、町長選への決意へ
石崎氏が初めて三股町で行政に携わったのは、2011年2月。宮崎県庁から副町長として派遣されたことがきっかけだった。
当時は、新燃岳が1月下旬に噴火した直後。三股町で3年間、副町長として行政運営に携わる一方、町内の地区に住み、自治公民館活動などにも参加した。
「仕事柄、町内のいろいろな団体の方や、30ある自治公民館の館長さんたちと付き合う機会がありました。そうするうちに、三股町のことを好きになって、ファンになっていったんです」
3年間の勤務を終えて県庁に戻った後も、祭りなどの機会には三股町を訪れ、そこで知り合った住民との交流を続けた。
その後、県庁を定年前に再び三股町で働く機会が訪れる。2019年4月から教育長として3年間勤務し、その後は再び副町長に就任。2026年6月末まで、三股町の行政運営に携わった。
長年にわたり町民と接する中で、行政への意見だけでなく、日々の暮らしの中で抱えている困りごとも聞いてきたという。
「そういった話をお聞きしているうちに、県庁職員としての経験や、三股町で通算10年以上仕事をしてきた経験を生かして、自分が見てきたことを生かした町政をやってみたいと思うようになりました」
周囲からも「やってみたら」と声をかけられ、立候補を決意した。
人口減少時代に必要なのは「稼げる街、挑戦できる街」
石崎氏が掲げる政策の中で、最も重視しているのが地域経済の活性化だ。
三股町では人口が2万5千人を割り込み、人口減少が現実のものとなっている。町の予測では、2050年代には人口が約2万3千人程度まで減少すると見込まれているという。
人口減少を食い止めるためには、若者が戻ってきたり、町外から移住・定住したりすることのできる環境を整える必要がある。そのためには、「働く場所」と「住む場所」が欠かせない。
そこで掲げるのが、「稼げる街、挑戦できる街」の実現だ。
「やはり若者たちが戻ってくる、あるいは他のところから移住・定住してもらえる街でなくてはいけない。そのためには働く場所がないといけないし、住む場所も必要です」
三股町は都城市に隣接し、ベッドタウンとしての性格が強い。一方で、農業、工業、サービス業など、町内にもさまざまな産業が存在する。
石崎氏は、都城市との関係を生かしながらも、「町内で働き、町内で消費する」経済循環を強めたいと考えている。
「地元の農業や工業、サービス業で働いて、できるだけ地元の中で経済が循環していく形をつくりたい」
農業では、担い手の減少に伴って耕作放棄地も増えている。工業では、高速道路のインターチェンジに近い地域などに一定の集積がある。商業についても、都城市との境界周辺には大型スーパーなどが立地している。
こうした既存産業を支援し、地域での雇用と所得を確保することが重要だという。
大企業の誘致だけではない「創業支援」
地域経済を活性化する方法として、石崎氏が重視するもう一つの柱が創業支援だ。
「大きな企業誘致というのは、なかなか難しい面もあります。だからこそ、アイデアを持っている人が町内で創業できるような環境をつくっていきたい」
空き家や空き店舗などを活用し、小規模な事業から始められる環境を整えることで、町内で新しいビジネスに挑戦する人を増やしていく。
「本当にスモールビジネスというものですけれども、そういうことがやりやすい街、やりやすい環境をつくることで、いろいろな人が三股町に来て創業していただければと思っています」
こうした地域経済の活性化は、別の政策にもつながる。
その一つが、ふるさと納税だ。
石崎氏は、現在約2億4千万円規模となっているふるさと納税について、3年間で4億円を目標に掲げる。ただし、単純に返礼品を増やして寄附額を伸ばせばいいという考えではない。
「地元の企業のためになるふるさと納税であってほしい」
町内の産業を育て、その企業がつくった製品が返礼品になる。その結果としてふるさと納税が増え、さらに地域経済の活性化につながる――。そんな循環を目指している。
一方で、事業者に過度な負担をかけることにも慎重だ。
「いっぺんに高い目標を掲げるのもいいと思いますが、それだけの企業に生産する能力があるのか。一時的な需要のために投資してもらうことで、事業者さんに過大なリスクを負わせることにならないかということも考えながら、目標を考えています」
都城市との連携と、三股町としての「自主独立」
三股町を考える上で、隣接する都城市との関係は切り離せない。
石崎氏も、両自治体は生活圏・経済圏として密接につながっていると認識している。
実際、廃棄物処理施設の整備や医療体制など、両自治体が共同で取り組んでいる分野もある。
「三股町単独ではできないことはもちろん都城市さんと一緒にやっています。盆地圏域などとは一体ですから、一緒にやれることは一緒にやる」
一方で、すべてを都城市に依存するわけではない。
「ただし、三股町独自のもの、自主独立と言っていますけれども、そういったものは確保していきたい」
連携するところは連携し、三股町として守るべき部分は守る。そのバランスを重視している。
「守るもの」と「変えるもの」
これからの三股町について、石崎氏は「守っていくもの」と「変えていくもの」を分けて考えている。
守っていきたいものとして挙げるのが、三股町が培ってきた伝統や歴史、教育・文化だ。
「三股町は『文教の町』というふうに言っていますけれども、教育とか文化、歴史を大切にする心、そういうものは守っていきたい」
一方で、産業構造の変化には対応しなければならない。
特に農業人口が減少する中、農畜産物を生産するだけでなく、加工・商品化して町外に販売する「高付加価値化」の取り組みを進める必要があるという。
「これまでもいろいろな努力をしてきていますけれども、必ずしもそういったサイクルが成功している事例がまだ多くない。そういった点は改善していきたい」
伝統を守ることと、変化を恐れないこと。その両方が、これからの町政には必要だと考えている。
高齢者を「守られる側」だけにしない
人口減少とともに進む高齢化も、三股町が直面する大きな課題だ。
将来的には現在より約800人高齢者が増えると予測されており、高齢者福祉をどう維持していくかは重要な課題になる。
しかし石崎氏は、高齢者を単に「福祉の対象」として捉えるだけでは十分ではないと考える。
「元気な方には、できるだけ健康寿命を延ばしてもらって、その方の意欲に応じて社会のために力を役立ててもらう」
人生100年時代を迎える中で、元気な高齢者の能力や経験を地域社会で生かすことが重要だという。70歳前後までは、それぞれの能力に応じて地域活動に参加したり、ビジネスに挑戦したりすることもできる。
「今後は、お年寄りは守られるべきもの、福祉の対象といっただけではなくて、元気なお年寄りの力をどう引き出していくかということも考えていきたい」
すでに三股町では、健康寿命の延伸に向けた取り組みも行われている。
町が社会福祉協議会に委託して行う運動教室では、比較的体力のある人向けの運動から、より軽い運動まで、さまざまなプログラムを実施。週1回の活動に200人以上が参加しているという。各地区でも介護予防を目的とした教室が開かれ、身体機能や認知機能の維持を目指している。
こうした取り組みを通じて健康寿命を延ばし、介護が必要となる人をできるだけ減らすことは、本人の生活の質だけでなく、将来的な介護保険などの社会保障負担を抑えることにもつながる。
主権者教育は「政治の知識」を生活につなげる
取材では、若者の政治参加についても聞いた。
投票率が低下する中、これからの主権者教育をどう考えるのか。
石崎氏がまず重要だと考えるのは、義務教育段階から政治や社会の仕組みを学ぶことだ。
「小学校、中学校の義務教育の段階から、きちっとそういった仕組みを学んでもらうことがまず第一だと思います」
ただし、憲法や三権分立、国民主権といった知識を覚えるだけでは不十分だという。
「それが自分たちの生活にどう関わってくるのかというのを、子どもたちに理解してもらうことが必要なんじゃないかなと思います」
中学校後半から高校にかけては、社会で起きている問題に対して、自分たちがどのように関わることができるのかを考えることが重要になる。
一方で、18歳選挙権には現実的な課題もある。
高校3年生という時期は大学受験などと重なり、同じ学年でも誕生日や選挙の時期によって投票できるかどうかが変わる。
「高校生になったから、みんながそういった主権者意識をちゃんと持って投票しましょうというのは、現実的にはなかなか難しいのかもしれない」
三股町でも18歳、19歳の投票率は低いという。
電子投票で若者の投票行動は変わるのか
投票方法そのものを変える可能性についても話は及んだ。
自宅から電子投票ができるようになれば、若者を含め、投票所に足を運ぶことが難しい人の投票行動が変わる可能性もある。
ただし、日本で自宅からの電子投票を実現するには、本人確認や投票の秘密など、解決すべき課題が多い。
宮崎県内では、2026年3月に新富町の選挙で、投票所に設置した専用タブレットを使った電子投票が実施された。実際に集計が早く終わるといったメリットがある一方、候補者数が多い場合に画面を切り替えて候補者を確認する必要があるなど、操作面の課題もあったという。また、導入事例がまだ少ないため、システムのレンタル費用なども課題となる。
石崎氏は副町長在任時にも電子投票について検討したことがあるというが、現時点では事例を見ながら検討していく段階だと話す。
「三股町出身ではない」ことを強みに
他の候補者との違いについて尋ねると、石崎氏が挙げたのは「外からの視点」だった。
地域の課題が共通していれば、候補者の政策も似てくる。その中で重要なのは、課題に対してどのようなアプローチをするかだという。
石崎氏は、県庁での勤務に加えて、国の中小企業庁で勤務した経験も持つ。
また、三股町出身ではないからこそ、町を客観的に見ることができると考えている。
「三股のことが好きでも、改善していくべき点も分かると思っています。そういった経験の違い、それから見方の違いを生かした行政ができればなと思っています」
三股町出身で長く町に根を張ってきた候補者、役場で長年勤務してきた候補者がいる中で、自身は異なる視点を持つ候補者だと位置づける。
ただし、「外から来たから変える」という考えではない。
「守るべきところ、三股の良いところは守っていきながら、改めていくべき点は思い切って、そういったものにあまり縛られずに変えていける」
自身が「外からの視点」を持つことと、これまで三股町で築いてきた人とのつながり。その両方を生かして町政に取り組む考えだ。
「出たからには、絶対に勝つ」
最後に、選挙への意気込みを聞いた。
「私には私なりに、三股町をこうしていきたいという、目指すべきものがあります。それを実際に私の手で実現したいと強く思っています」
そして、言葉を強めた。
「出たからには勝つ。絶対に勝つという覚悟で、今後の選挙戦に取り組みます」
人口減少、産業の担い手不足、高齢化、若者の政治参加――。三股町が抱える課題は一つではない。
だからこそ石崎氏は、一つの政策だけに絞るのではなく、地域経済を基盤として、子育て、教育、高齢者福祉、防災など幅広い課題に取り組む姿勢を示す。
その根底にあるのは、「稼げる街、挑戦できる街」をつくり、人口減少の中でも持続可能な地域をつくっていくという考えだ。
若者へ「いろんな経験を積んでほしい」
最後に、学生や若者に向けたメッセージを求めると、石崎氏は「いろんな経験を積んでほしい」と語った。
「ただ、あまり一つのことだけにこだわる必要もなくて、今の自分を第一にしながら、自分にはどういう可能性があるんだろうかということも、いろいろと探していってほしい」
行政、地域、政治、そして自身のこれまでのキャリア。その経験を振り返りながら、若者にも一つの道だけに可能性を限定せず、自分自身の可能性を探してほしいと呼びかけた。
三股町で10年以上にわたって行政に携わり、町民との交流を重ねてきた石崎氏。
「守るべきものは守り、変えるべきものは変える」。
その姿勢を掲げ、三股町の次の時代を担う町政への挑戦が始まる。



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